技術・研究開発

「AqasPrimeカラム」とは

新規分離基材AqasPrime

アクアスの製品AqasPrimeは、100ミクロンの内径を持った1メートル弱のキャピラリー中に分離基材を構築した、キャピラリーモノリスカラムと呼ばれるカラムです。AqasPrimeは、標的化合物の親油性部分の認識機能および親水性部分の認識機能を併せもつ複合分離機能を有しており、これにより、例えば植物等の持つ多種多様な成分を一斉に、しかも驚くほどの精密分離することが可能になりました。
AqasPrimeの能力を次の測定例でご確認ください。

AqasPrimeを用いた測定例

SDGsへの貢献

植物等を研究標的としておられる多くの研究室の頭痛の種は、毎日廃棄される液体クロマトグラフィー用溶媒だと聞いております。例えばオートサンプラーを装備して連続測定を行った場合、一年でドラム缶3本の廃液が出ます。AqasPrimeをお使いいただいた場合、これをビール缶一本に削減することができます。このように、AqasPrimeは研究活動における溶媒の費用削減と廃棄費用の削減はもとより、溶媒燃焼処理による環境への負荷の大きな削減へ貢献します。

希少植物資源の乱獲防止と保全に貢献

医薬におけるシーズの枯渇という喫緊の課題を解決するために、遠くはヒマラヤ近辺に自生する植物等を無差別に採取して森林保全に危機をもたらす行為が国際的な問題として捉えられております。AqasPrimeをお使いいただいた場合、試料量は僅か1g以下の採取で十分かと考えられますので、この重要な国際問題の緩和に貢献できます。

創薬シーズ探索支援

AqasPrimeを用いることで得られる大きなメリットを、創薬におけるシーズ探索を例にとって紹介します。
創薬研究は、①探索研究、②開発研究、③臨床研究(フェーズIからフェーズIIIにいたる3段階の臨床試験)から構成されており、「シーズ探索」は、創薬プロセスの上流に位置し、あらゆる方法を用いて可能性のある化合物を探し出す重要なプロセスとなっています。
見つけられた候補化合物は、開発研究のステージへ進み、医薬品申請・承認取得へ向けて、候補化合物の物理化学的・生物学的性質の把握と評価、品質や安全性の保証、大量合成・製剤化などの工業化研究が行われます。しかし、この段階で多くの候補化合物が脱落するため、「シーズ探索」の難しさが課題となっています。
AqasPrimeを使用していただけたら、200に迫るような成分の一斉分離が可能であり、「シーズ探索」の効率を大幅に向上できます。

 

データベース

アクアスでは、無限に広がるサンプル種を効率よく分析する方法を提供するために、分離した試料成分のオンライン質量分析データ測定を行い、結果をデータベース化する予定です。一回の測定で200種ほどの成分の測定結果を得ることが可能であり、一日10サンプルの計測ができますので、膨大な質量分析データの蓄積ができます。これをデータベース化する試みに大きな期待をもっております。